SGL鋼板とは?メリットやデメリット・メンテナンス方法を解説
SGL鋼板という素材をご存知でしょうか?
SGL鋼板とはサビに強い金属製の素材で、家の屋根や外壁など建築資材によく使用されています。
ガルバリウム鋼板とよく比較されていますが、日常生活においてなかなか触れる機会はありませんよね。
そこで、今回は、SGL鋼板はどのような屋根材なのかについて解説します。さらに、メリットやデメリット、メンテナンス方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
SGL鋼板とはガルバリウム鋼板の進化版
SGL鋼板(エスジーエルこうはん)とは、ガルバリウム鋼板をベースに耐食性をさらに向上させた進化版のガルバリウム鋼板です。
SGLは「Super(超越した)」、GLは「ガルバリウム」の略称です。次世代のガルバリウム鋼板とも呼ばれています。ガルバリウムが発売されてから約30年が経過しています。
これまでの建物は20年、30年程度で寿命を迎え、建て替えという流れでした。近年は建築資材の進化により、さびにくく長持ちさせる住宅が評価される時代へと変わってきました。
そうしたニーズから、長年の実績と最先端の技術開発をしてきた日鉄鋼板株式会社によって、革新的な耐食性を持つ次世代のガルバリウム鋼板を開発したのが「SGL(エスジーエル)鋼板」です。
SGL鋼板の特徴やガルバリウム鋼板との違い
SGL(エスジーエル)は、アルミニウム55%、亜鉛合金めっき鋼板であるガルバリウム鋼板をベースにマグネシウムの防腐効果をプラスし、耐食性を向上させたものになります。
マグネシウムを加えることで、めっき層が強化され、これまでのガルバリウム鋼板の3倍超となる耐食性を実現しています。切断面や端部は赤サビが発生しやすく腐食しやすい場所です。
マグネシウムは腐食を抑制する効果があり、腐食が起こりやすい塩害などの環境化においても耐食性向上の傾向を示す実験結果も出ています。
また、耐食性が向上したことで、メーカーの製品保証も手厚くなっています。一般的にガルバリウム鋼板の穴あき保証は10年が基本です。一方で、SGL鋼板の穴あき保証は25年まで延びています。
15年もの違いがあるのは、それだけ耐久性が期待できるということです。屋根の穴あきは、雨漏りにつながることがあるため、耐食性の向上や保証が長いことは安心できる材料といえるでしょう。
参考サイト:日鉄鋼板株式会社「エスジーエルのめっき組成の秘密」
SGL鋼板のメリット
ここでは、SGL鋼板のメリットについて解説します。
サビにくい
SGL鋼板のメリットとして「サビにくい」ことが一番のメリットと考えます。
防腐効果のあるマグネシウムを加えたことで、めっき層が強化され、ガルバリウム鋼板の約3倍超もの耐食性を実現することに成功しています。
金属にとってサビは一番の弱点です。サビは時間が経過すると穴があいてきて、やがて雨漏りにつながる部分でもあります。金属の切断面や端の部分が特にサビやすい場所ですが、その部分が強化されたことは大きなメリットといえます。
耐震性に優れている
SGL鋼板は非常に軽量な屋根材です。1平方メートルあたりの重さを比較すると、スレート屋根に対しては約1/5、瓦屋根に対しては約1/10の軽さです。屋根が軽くなることは、建物への負担も減り、地震の揺れを軽減させることができます。
複雑な形状にも施工できる
SGL鋼板は、ガルバリウム鋼板と同様の加工のしやすさがあります。さまざまな形状にも対応できるため、屋根だけでなく外壁、補強材などにも使用できます。
SGL鋼板のデメリット
ここでは、SGL鋼板のデメリットについて解説します。デメリットを理解しておくことで、ガルバリウム鋼板やほかの屋根材との違いが理解でき、よりよい屋根材選びができます。
価格が高い
SGL鋼板はガルバリウム鋼板とはさほど値段は変わりませんが、スレート屋根などに比べると導入費用は高くなります。
価格はメーカーによっても異なりますが、一般的にスレートは約5,000〜8,000円です。SGL鋼板は7,000〜10,000円となり、1.2〜1.5倍ほど高くなります。
ですが、SGL鋼板はスレート屋根に比べて耐久性があるため、メンテナンス頻度を考えるとコストパフォーマンスはよい屋根材といえます。そこは、予算やどこまで家を長く使うかなどをよく比較検討してみることをおすすめします。
傷がつきやすく、凹みも起きやすい
SGL鋼板はガルバリウム鋼板と同様に傷が付きやすく、凹みも起きやすいです。傷ついた部分からサビや腐食につながる場合もあるため注意が必要です。
断熱性が低い
SGL鋼板は断熱材が入っていないため、断熱効果は期待できません。断熱効果を期待したい方は、断熱材を一緒に施工するか、断熱材と一体となった屋根材を選ぶようにしましょう。
SGL鋼板を使用した屋根材
ここでは、SGL鋼板を使用した代表的な屋根材を3つ紹介します。
スーパーガルテクト
(出典:アイジー工業Webサイト)
1つ目は、アイジー工業の「スーパーガルテクト」です。
アイジー工業は、金属製屋根メーカーではトップシェアを誇っており、金属製屋根材を選ぶ際は、必ずといってもよいほど候補に入ってくる企業です。
主力商品でもあるスーパーガルテクトは、軽量で耐熱性に優れており、災害時の供給による復興支援に貢献したことで、令和4年度には文部科学大臣表彰を受賞しています。
スーパーガルテクトは、屋根材と断熱材がひとつになった製品で、遮熱性と断熱性が非常に優れており、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるのが特徴です。
デメリットは、平米単価が8,190〜10,280円(2023年11月現在)と他の屋根材に比べると割高な点です。初期費用は高めですが、屋根の耐久性や冷暖房にかかるランニングコストなどのトータル面で、長期的に考えるとコストパフォーマンス的にはお得といえます。
横暖ルーフ
(出典:ニチハ株式会社Webサイト)
2つ目は、ニチハ株式会社の「横暖(よこだん)ルーフ」です。
ニチハ株式会社は、住宅建材の大手メーカーであり、外壁材ではトップメーカーです。
横暖ルーフは、こちらも屋根材と断熱材がひとつになった製品です。屋根の表面材の厚みが0.35mmと薄型で軽量ながら、遮熱塗装も施しているため、遮熱性と断熱性に優れています。夏の暑さを軽減したい方や気温の高い地域におすすめです。
デメリットは、こちらも平米単価が約7,700〜9,430円(2023年11月現在)と高価な点です。スーパーガルテクトと同じような特徴ですが、横暖ルーフの方が価格がやや安いです。
スマートメタル
(出典:ケイミュー株式会社Webサイト)
3つ目は、ケイミュー株式会社の「スマートメタル」です。
ケイミュー株式会社は、大手の屋根材メーカーで、軽量瓦やスレート屋根など安価で性能が高い商品を作っているメーカーになります。
スマートメタルもサビに強いだけでなく、左右から重ねて施工できるように設計されています。不要な屋根材を切断することなく施工できるため、施工性にも優れているのも特徴です。平米単価も約8,455円(2023年11月現在)と安いのも人気です。
デメリットとしては、断熱材が取り付けられていないため、断熱効果は期待できません。断熱材を追加で施工すると割高になるため、リフォーム用途で施工するのがよいでしょう。
SGL鋼板のメンテナンス方法
この章では、SGL鋼板のメンテナンス方法について解説します。
水での洗浄
SGL鋼板はサビに強い屋根材ですが、家を長く維持するためにも定期的なメンテナンスは必要です。汚れたまま放置してしまうと、サビや腐食の原因となる有機物質が蓄積してしまいます。
特に塩害地域にお住まいの方は、水洗いだけでも耐久性に差が出ますので、しっかりと水洗いするようにしましょう。
水洗いする際は、やわらかい布やスポンジで洗うと表面を傷つけないで済みます。水で落ちない汚れは、中性洗剤を使用することで落ちますので、試してみてください。
また、高圧洗浄機は水圧が強いため、傷やへこみができる可能性もあるため避けるようにしましょう。
塗り替え
一般的な屋根材は10年程度で塗装リフォームが必要ですが、SGL鋼板は15年程度、再塗装が必要ありません。
ただし、塗装の表面が著しい変色や色あせ、表面が白っぽくなるチョーキング現象が発生している場合は、塗替えの目安となります。
SGL鋼板の屋根材をお考えの方はR-primeへ!
SGL鋼板とは、日鉄鋼板株式会社が開発した、ガルバリウム鋼板をベースに耐食性をさらに向上させた進化版です。従来のガルバリウム鋼板にマグネシウムを加えたことで、約3倍もの耐食性を向上させたのが特徴です。
SGL鋼板のメリットとしては、以下の3点です。
- ・サビに強い
- ・耐震性に優れている
- ・複雑な形状にも施工できる
デメリットとしては、以下の3点です。
- ・価格が高い
- ・傷がつきやすく、凹みも起きやすい
- ・断熱性が低い
SGL鋼板は、施工費用は高くなりますが耐食性向上による耐久性が期待できますので、塗装などのメンテナンスが少なくなることを考えると、コストパフォーマンスに優れた屋根材であるといえます。
屋根の種類にはさまざまなものがあります。それぞれの特徴を理解して、後悔のないメンテナンスをしてください。
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