アスベスト含有屋根材の見分け方とメンテナンス方法
今回のテーマは、アスベストを含んだ屋根材についてです。
今住んでいるお家の屋根にアスベストが含まれているかどうか、判断つきますでしょうか?
アスベストによる発がん性の健康被害が報告されてから、2004年10月にアスベストを含んでいる屋根材の製造が中止になっています。しかしながら、2004年より前にスレート屋根を使用して建築された家にはアスベストが含まれている可能性があります。
屋根材にアスベストが含まれていても、今すぐ危険ということはありません。
ですが、今後アスベストを含んだ屋根をリフォームする場合、高額な工事費用となってしまうことになるため、今から理解しておくようにしましょう。
そこで今回は、アスベスト含有屋根材の見分け方について解説します。さらに、アスベストを含んだ代表的な屋根材や、メンテナンス方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
アスベスト含有屋根材の見分け方は3つ
アスベストを含んだ屋根かどうかを見分けるポイントは3つあります。これから紹介するポイントはすべてに該当するわけではありません。あくまで可能性になりますので、総合的に判断する必要があります。
ご自宅の屋根が、アスベストを含んでいるかどうかわからない場合の確認方法も併せて解説しているので、参考にしてみてください。
アスベストのロゴで見分ける
まず、1つめはアスベストのロゴが入っているかどうかです。
アスベストのマークは「”a”」で刻印されています。「”a”」マークが入っていたら、アスベストが含まれた屋根材です。ただし、すべての製品に付いているわけではありません。
アスベストマークが付けられたのは1989年7月以降です。生産業者が自主的に押印している場合もあるため注意が必要です。
また、施工場所によっては確認が難しい場合もあるため、後述する建築の時期や製造番号などで判断する必要があります。
家を建てた時期から見分ける
3つめは、家を建てた時期から見分けることです。ただし、建築時期はあくまで目安になります。
アスベストは段階的に規制が行われています。アスベストの吹付け作業は1975年に原則禁止となり、2004年10月には石綿を含む屋根材や外壁材の製造が中止となりました。
2006年9月には、石綿および石綿の重量の0.1%を超えて含有するすべての製造・輸入・譲渡・提供・使用が全面禁止となりました。そして、2012年3月にはすべてのアスベストを含む建築材の使用が禁止となっています。
上記のことから、時期の目安としては2004年10月以降に建てられた家にはアスベストは使用されていないことは判断できます。
アスベストは屋根材や外壁材など幅広く使用されてきましたが、すべての屋根材に使用されているわけではありません。後述するメーカーや品番、ロゴなども含めて見分ける必要があります。
屋根材メーカーや商品名・型番・品番で見分ける
屋根材を製造しているメーカー名や商品名、型番、品番でも見分けることができます。
国土交通省が公開している「石綿(アスベスト)含有建材データベース」のサイトで、建材の検索ができます。商品名や製造メーカー名、型番・品番を入力することで、かんたんにアスベストが含まれている製品かどうか判断できます。
時期やメーカー・品番がわからない場合
上述の建築時期や、メーカー、品番などがわからない場合は、専門の調査機関へ依頼する方法があります。
「建築物石綿含有建材調査者」の資格を有した専門業者が、図面や建材などの種類から、書面の調査と目視での調査をします。事前調査後は、実際にアスベストから繊維を採取し分析を行います。
アスベストが含まれた屋根材や、含まれると予想される屋根材を撤去する際には、事前に石綿(アスベスト)含有の有無の調査を行う必要があります。
アスベストが社会問題化した原因について
ここでは、アスベストが社会問題化した原因について解説します。
アスベストとは
アスベストとはそもそもどういったものなのでしょうか。
アスベストは漢字で「石綿」と表記し、「いしわた」や「せきめん」とも呼ばれます。アスベストは、天然の繊維状の鉱物です。アスベストは極めて細かい繊維で、熱や摩擦、酸やアルカリ性にも強く、丈夫で温度変化にも変化しにくい特性を持っています。
その特性を活かし、建築現場における吹付け材に使用され、保温にも優れていることから、断熱材やスレート屋根材などにも使用されてきました。
しかし、アスベストは健康被害をもたらすことがわかり、現在では原則として、製造や使用などが禁止されています。
健康被害について
アスベストを含んだ屋根だからすぐに問題になるわけではなく、通常の使用状態では生活には問題ありません。劣化によってアスベストがむき出しになったり、アスベストの繊維が空気中に浮遊することで、鼻や口から吸い込んだりすることが危険とされています。
アスベストが及ぼす健康被害としては、肺がんや肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫を引き起こす恐れがあります。アスベストを吸い込んだからといって、必ずしも発病するわけではありませんが、不安な場合は、がん検診や定期的な健康診断を受診、近隣の専門医療機関へ相談することをおすすめします。
アスベスト含んだ代表的な屋根
この章では、実際にアスベストが含まれた代表的な屋根材をご紹介します。
ニューコロニアル
ニューコロニアルは、1979年から2001年までクボタ(現ケイミュー)が製造販売していたスレート屋根です。アスベストが含まれた代表的なコロニアル屋根です。
耐久性が高く、塗装を行わなくても30年以上は保つとされ、コロニアルの中ではもっとも普及した屋根材です。
セキスイかわらU
セキスイかわらUは、積水化学工業が製造販売していた屋根材です。本物の瓦のようなフォルムでありながら軽い素材で人気となり、全国で50万棟以上採用された実績もありました。
健康被害の問題から、アスベストを取り除いた製品も再販されましたが、再販品はアスベストに比べて柔軟性がなく、素材も弱くてもろい屋根材になってしまいました。その結果、表面の塗装もはがれやすかったことからクレームが多発し、販売終了となっています。
アーバニー
アーバニーはクボタ(現ケイミュー)が製造販売した屋根材で、2001年〜2005年までの4年間販売されました。
クボタのカラーベストシリーズ最高級モデルとして販売され、スリットのデザインが高級感を演出していたモデルでした。しかし、そのスリットが割れやすく、たった4年で販売中止となった製品です。
アスベスト含有屋根材のメンテナンス方法
この章では、アスベストを含んだ屋根をリフォームする際、どのようなメンテナンス方法がよいのかについて解説します。
カバー工法でリフォーム
費用を抑えた形でリフォームしたい場合には、カバー工法がおすすめです。カバー工法はすでにある屋根材を撤去せずに、新しい屋根材を上から被せる(カバーする)工事です。
もとの屋根材を撤去する必要がないため、撤去費用や屋根材の処分費用がかからない分、費用を抑えたリフォームができます。工事期間も5日程度で終わるでしょう。
ただし、アスベストを含んだ屋根材は残ったままのため、アスベスト問題は先送りの状態となります。長く住み続けるのであれば、今後のメンテナンスコストを比較したうえで考える必要があります。
葺き替え工事も可能だが高額な費用がかかる
葺き替え工事は、今ある屋根材すべてを撤去して、新しい屋根材を設置する工事です。葺き替え工事は、アスベスト問題を解決することはできますが、撤去には廃棄物処理法にもとづいた、特別管理産業廃棄物「廃石綿等」として処分する必要があります。
この処分方法は、工事費用とは別に処分費用が発生するため高額になります。解体は、アスベストの濃度レベル1〜3の度合いで費用が異なります。レベル1は飛散による発じん性がもっとも高く、慎重な作業を必要とするため高額になってしまうのです。
アスベストを含んだ屋根材をリフォームする際は、屋根の状態や今後のライフプランを含めて総合的に判断する必要があります。
アスベスト屋根のリフォームのご相談はR-primeまで!
今回は、アスベストを含んだ屋根材を見分ける方法について解説しました。
アスベスト含有屋根材を見分けるポイントは以下の3つです。
- ・アスベストのロゴ「”a”」が入っているかで見分ける
- ・家を建てた時期が2004年10月以降かどうかで見分ける
- ・屋根材メーカーや商品名・型番・品番で見分ける
上述の方法で見分けられない場合は、専門の調査機関へ依頼する方法があります。
そして、アスベスト含有屋根材のメンテナンス方法は以下の2つです。
- ・カバー工法
- ・葺き替え工事
カバー工法は、アスベストの屋根の上から新しく屋根を設置するため、撤去費用がかからず工事費用を抑えることができます。しかしながら、アスベストの屋根は残ったままとなるため、先送りの状態となり、今後も不安を抱えて生活をすることになってしまいます。
一方、葺き替え工事となると、アスベスト問題は解消されますが、高額な撤去費用がかかります。どちらにするかは、予算や今後のライフプランを考えたうえで判断するとよいでしょう。
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