屋根修理工事の種類について解説
屋根の修理にはどのような工事があるかご存知でしょうか?
大きな工事としては「葺き替え工事」と「カバー工法(重ね葺き工事)」の2種類ですが、屋根の劣化状態や屋根の部材によって、塗装工事や部分補修工事などがあります。
今回は、屋根修理工事の種類について解説します。さらに、屋根の種類別のメンテナンス時期と修理方法、修理するうえでの注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
屋根修理工事の種類
ここでは、屋根修理工事の種類について解説します。屋根の状態や修理する箇所によって、さまざまな工事方法があります。
葺き替え工事
葺き替え工事(ふきかえ)工事は、屋根一式をすべて交換する工事です。すでにある下地材やルーフィング(防水シート)、屋根材を一度すべて撤去します。下地材からすべて交換するため、屋根の劣化が激しい場合や、雨漏りしている場合は根本的な解決になります。
既存の屋根材をすべて撤去するため、撤去費用や処分費用などが別途発生します。工事費用とは別に費用が発生するため高額になりがちです。
また、撤去するための期間も発生するため、工事期間は屋根修理工事の中では一番長くなります。目安として、7〜10日は見ておいたほうがよいでしょう。
葺き替え工事は、屋根材を軽量な金属製などへ変更することで、耐震性を向上させることができます。屋根の重量が少なくなると、建物の重心が低くなるため、地震に対しての揺れを抑えることができます。耐震性の強化を考えている人にもおすすめです。
カバー工法(重ね葺き工事)
カバー工法は重ね葺き(かさねぶき)工事ともいいます。カバー工法は、すでにある屋根材は撤去せずに、既存の屋根材の上に新しく下地材や防水シート、屋根材を上からかぶせる工事になります。
古い屋根材を撤去する必要がないため、撤去費用や処分費用もかからないため、葺き替え工事よりは安く抑えることができます。工事期間も5日程度になるため、2〜5日程度短くなります。普段の生活をしながらでも工事は可能でしょう。
ただし、屋根材は劣化していなくても、下地材やルーフィング(防水シート)が劣化していたり、雨漏りしていたりする場合は、カバー工法での工事はできません。
また、カバー工法はアスベストを含んだスレート屋根のニューコロニアルや、かわらUなどの屋根材にも向いています。
とくにアスベストを含んだ屋根材は、特別管理産業廃棄物「廃石綿等」として特別な処分になるため撤去費用も高額になります。そういった点でもカバー工法はコスト面で有利です。
注意点としては、カバー工法は屋根が二重になるため、耐震性は落ちてしまいますので注意が必要です。
塗装工事
塗装工事は、屋根材を保護するメンテナンス工事になります。塗装をすることで、屋根の防水機能を高め、美観を保つ・復活させることができます。
屋根に汚れが目立ってきたり、色あせが見られるようであれば、防水機能が落ちてきているため、塗装のタイミングといえます。塗装は使用する塗装の種類にもよりますが、10年程度がメンテナンスのタイミングと考えてよいでしょう。
陶器製の瓦屋根や、天然石がコーティングされたジンカリウム鋼板屋根に関しては塗装は必要ありませんが、スレート屋根、金属製屋根、セメント瓦・コンクリート瓦などは、塗装が必要になります。
部分補修工事
部分補修工事は、屋根材以外に補修や交換を必要とする工事です。屋根には、屋根の機能を維持するために、さまざまな建築部材が使われています。これらの建築部材が劣化や破損してしまうことで、雨漏りにつながることもありますので、見落とせない部分です。
主な部分補修について解説します。
<漆喰工事>
漆喰(しっくい)は、瓦屋根にしか使用されない建築部材で、屋根の頂上に設置される棟瓦(むねがわら)の土台を保護するために使われるものです。
漆喰の役割としては、雨水の浸入を防ぐことと、瓦同士の接着を高めることを目的としています。また、漆喰は見た目が白いことで、外観を美しく見せる役割もあります。
漆喰は、日々紫外線や雨風にさらされています。漆喰が劣化するとひび割れたり、コケやカビが生えたりしてしまいます。ひび割れが進行すると、はがれてしまい、隙間から雨漏りにつながる可能性もあります。
漆喰工事は、劣化した部分を一度すべてはがして塗りなおす「詰め直し」の方法があります。ほかにも上から塗りなおす「詰め増し」の方法がありますが、密着度はあまり高くないため、あまりおすすめはできません。
<棟板金・棟瓦工事>
棟板金(むねばんきん)、棟瓦(むねがわら)は、屋根の一番上に位置し、屋根材と屋根材が重なる位置にできる隙間をカバーする建築部材です。瓦屋根には棟瓦、それ以外には棟板金が設置されます。
棟板金の固定には、クギやネジを使用しますが、劣化してくるとクギの抜けや浮きが発生します。放置すると飛ばされてしまうこともあるため、クギの打ち直しや棟板金の交換が必要となります。
棟瓦は、地震などで瓦がズレることがあるため、ズレてしまったら、「棟瓦の積み直し」になります。棟瓦を一度すべて取り外し、漆喰を塗り直してから再度棟瓦を組み上げる工事です。
<雨樋工事>
雨樋(あまとい)は、屋根の軒先や外壁に取り付けられ、雨水を屋根から地上へ流す建築部材です。雨樋は上部が開いた構造のため、落ち葉やゴミがたまりやすくなります。ゴミがたまることで、雨樋が詰まります。
雨樋の詰まりを放置すると、あふれた雨水が外壁を伝って、外壁が傷んだり、雨漏りにつながったりする危険性があります。
雨樋が劣化していない場合は、定期的に掃除をしてあげると、本来の機能を維持できます。割れたりひびが見られるようであれば交換となります。
屋根の種類別のメンテナンス時期と修理方法
ここでは、屋根材ごとのメンテナンスをするタイミングと修理方法について解説します。
瓦屋根
瓦自体は非常に頑丈に作られており、耐用年数は80〜100年は保つとされています。塗装などのメンテナンスも必要ありません。
ですが、ほかの屋根材と同様に、下地材やルーフィング(防水シート)が屋根材の下に設置されています。これらの部材は30〜40年程度で劣化してしまうため交換が必要です。
交換は瓦を一度撤去する「積み直し」作業を行います。また、前章でも解説しましたが、棟瓦を支える漆喰も20〜30年程度で劣化してくるため、漆喰の工事も必要となります。
スレート屋根
スレート屋根は、セメントを主成分とする厚さ5mm程度の軽くて丈夫な屋根材です。一般的な住宅に多く採用されている屋根材でもあります。
スレート屋根の寿命は15〜20年程度とされています。スレート屋根はセメントが主成分のため、ひび割れが起きやすい屋根でもあります。さらに、塗装で保護する必要があるため、定期的な塗装メンテナンスも必要になります。
ひび割れや色あせ、コケやカビなどが発生した場合は、交換やメンテナンス時期となります。塗装メンテナンスは、塗装する種類にもよりますが、5〜10年程度で行うのがよいでしょう。
また、スレート屋根にも棟板金が使用されていますので、こちらのメンテナンスも必要となります。棟板金の耐用年数は15〜20年程度です。
金属屋根
金属屋根は、ガルバリウム鋼板という耐久性と耐食性にすぐれた屋根材です。ガルバリウム鋼板は非常に軽量な素材でもありますので、カバー工法や耐震性を意識したリフォームにもおすすめな屋根材です。
ガルバリウム鋼板の耐用年数は25〜30年程度で、色あせに対しても20年程度は保つとされています。5年ごとに定期点検を実施することで、長持ちさせることができるでしょう。
ただし、金属屋根に関しても、ほかの屋根材と同様、棟板金や下地材、ルーフィングが屋根材よりも早く劣化してきます。棟板金やルーフィングなどのメンテナンスを怠ると、雨漏りにつながったり、家が痛みやすくなるため、メンテナンス時期を確認して交換・補修することをおすすめします。
屋根修理工事をするうえでの注意点
ここでは、屋根修理工事をするうえでの注意点について解説します。注意点を理解しておくことで、より満足度の高いメンテナンスができるようになるでしょう。
屋根修理専門業者へ依頼する
屋根修理をする場合は、専門の修理業者へ依頼することをおすすめします。ハウスメーカーやリフォーム業者へ依頼することもできますが、下請け業者へ依頼することも多く、費用が高額になりがちです。
また、窓口と実施施工者が異なる場合も多いため、依頼内容と違う工事をされることもゼロではありません。地域密着型であれば、都度相談に乗ってくれて、何か不具合があった際もすぐに対応してくれるでしょう。
見積もりは2〜3社に依頼する
修理を依頼する際は、必ず複数の業者へ依頼することをおすすめします。理由は、価格相場を把握し、余計な費用を支払わないためです。依頼は2〜3社でよいでしょう。
1社のみだと、高いのか安いのかの費用相場が把握できずに、悪徳業者にだまされるリスクがあるからです。また、見積もりの内訳も、使用するメーカー名や塗料の容量、作業工程がしっかりと記載がある業者にしましょう。
「工事費用一式」など、まとめている業者は要注意です。費用を上乗せされているケースもあります。
火災保険は自然災害での損害のみ適用
屋根の修理は火災保険が適用できる場合があります。火災保険が使用できれば費用を抑えて工事ができます。ただし、修理できるのは「自然災害のみでの損害」のみです。経年劣化や人的な破損による修理は対象外です。
保険が適用できるかどうかは、ご自身が加入されている保険会社へ問い合わせてみるか、屋根修理専門の業者へ確認してみるとよいでしょう。
屋根修理と塗装工事はセットがお得なことも
屋根修理を行う際は、塗装工事もあわせて行うと費用を抑えられます。理由は足場の設置が一度で済むためです。足場代は一般的に15〜25万程度かかるため、費用の節約になるだけでなく、工期の短縮にもなります。
屋根修理工事のご相談はR-primeまで!
今回は、屋根修理工事の種類について解説しました。
大きな屋根工事としては、「葺き替え工事」「カバー工法(重ね葺き工事)」があります。防水性や美観回復には「塗装工事」、屋根材以外の交換や補修については「部分補修工事」になり、漆喰工事や棟板金・棟瓦工事、雨樋工事が主な工事です。
屋根工事をするうえでの注意点としては、以下のとおりです。
- ・屋根修理専門業者へ依頼する
- ・見積もりは2〜3社に依頼する
- ・火災保険は自然災害での損害のみ適用
また、屋根修理と塗装工事を同時に行うと、足場の設置が一度に済むため、足場代を節約できますので、うまく活用するとよいでしょう。
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