「笠木」の役割や雨漏りの原因を解説
「笠木」と聞いて、建物のどこの部分かご存知でしょうか?
イメージしやすいのは、ベランダの手すり上部についているカバーのことです。ほかにも室内の階段の手すり上部にあるカバー部分が笠木です。
上記以外にも建物のさまざまな部分に取り付けられており、笠木が劣化することで雨漏りにつながる重要な建材です。
そこで今回は、笠木の役割や雨漏りにつながる原因について解説します。さらに、メンテナンス方法や修理方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
笠木とは
「笠木」の読み方は「かさぎ」といいます。笠木は住宅の多くの部分で使われている建材です。ここでは、笠木の構造や特徴、役割について解説します。
笠木の構造や特徴
笠木のもともとの意味は、冠木(かぶき)ともいい、神社の鳥居や門、板塀などの上に渡す木材でした。住宅においては、塀や独立した壁、腰壁、パラペット、手すり壁、室内の階段の手すり上部に取り付ける建材のことを指し、住宅のあらゆるところに設置されています。
笠木には、設置する場所に対応できるよう、さまざまな材質があります。木製やセメント・モルタル製、金属製などです。ベランダやバルコニーには、防水性の高いステンレス、アルミ、ガルバリウム鋼板などの素材も多く採用されています。
笠木の役割
笠木の役割は「躯体を腐食から守る」ことです。躯体とは建物を支える骨組みの部分のことをいいます。具体的には、基礎、梁、柱、壁、床などを指します。
笠木は設置される場所においては、求められることが異なり、ベランダやバルコニーにおいては防水性が大事になってきます。その理由としては、ベランダやバルコニーは雨漏りにつながるためです。
一般的なベランダやバルコニーはコンクリートや木材でできています。コンクリートや木材は、水を吸収しやすく、膨張・伸縮を繰り返すことでひび割れが起きやすくなります。
床部分においては防水塗装をしますが、手すりにあたる部分は笠木を使って防水効果を高めているのです。
笠木は躯体を守ること以外にも、意匠性を高める役割もあります。上述のベランダやバルコニーにおいては、手すりが付いていることも多く、シンプルなものが多いです。
一方、家を囲む塀などは意匠性を高めるために、おしゃれな形の笠木にしたり、塗装でワンポイントを加えたり演出を高める役割もあるのです。
笠木から雨漏りする原因
笠木は躯体を守る役割や意匠性を高める役割がありますが、場所によっては笠木が劣化することで雨漏りにつながりやすくなってしまいます。ここでは、雨漏りにつながりやすい原因について解説します。
上部のクギの隙間から
笠木は上部から被せる形で設置されることが多いため、上部にクギで固定します。そのクギが経年劣化によって緩むことで、隙間から雨水が入りやすくなります。
また、笠木は側面で固定されているケースもあります。側面であれば雨水が入らないと思われがちですが、上部から雨水が伝って側面に入ることもあるため、側面で固定されているクギにも要注意です。
笠木のシーリングの劣化
クギを固定する際は、シーリング材を充てんすることで、固定や防水の役割をします。しかし、年数が経つにつれてシーリング材がはがれたり、割れたりすることがあるため、雨水が入りやすくなります。
笠木のズレや浮いた部分から
笠木のクギの劣化を放置すると、ズレたり、浮いたりしてきます。クギが劣化していない状態でも、台風などの強風でめくれたり、飛来物などで破損してズレたりすることもあります。浮いた隙間からは雨水が浸入しやすくなるため注意が必要です。
笠木のサビによる穴から
金属製の笠木の場合、サビによって穴があく場合もあります。サビによる腐食が進むと穴の範囲が広がり、雨水が浸入しやすくなります。
サビを防ぐには、笠木やクギをアルミ製やステンレス製に変えることで、サビに強くなります。経年劣化によって交換する際は検討してみるのもよいでしょう。
結露
密閉して固定する笠木の場合、結露が発生しやすくなります。密閉するタイプだと、通気性が低いため湿気も発生しやすくなり、結露が発生し、雨漏りしやすくなります。
結露を防止するためには、オープン式の笠木を使用するのもひとつです。オープン式は、笠木と壁の間に空気の通り道ができるため、結露が発生しにくくなります。雨漏りにつながりやすい部分にはオープン式の笠木を使うのもおすすめです。
施工不良
笠木の取り付け方法が間違っている、笠木のサイズが合っていないなど、施工不良のケースも実際に存在します。笠木を設置した側面の長さが極端に短いものも要注意です。
笠木が雨漏りすることで起こる現象
ここでは、笠木が雨漏りすることで起こることで、建物へどのような影響があるのでしょうか。起こる現象について解説します。
ベランダ裏の軒天の腐食
軒天とは軒裏ともいい、ベランダの裏の部分のことです。笠木が雨漏りしてしまうと、雨水が壁を伝い、ベランダ下の軒天の腐食につながります。軒天は外壁塗装とともに塗装によって防水されていますが、雨漏りによって防水効果も弱めてしまいます。
ベランダ下の室内の雨漏り
笠木の雨漏りは、軒裏の腐食につながるだけでなく、下の階の雨漏りにつながることがあります。笠木の隙間から入り込んだ雨水は、壁を伝って下の階の天井に雨染みや、壁クロスの浮きなどの雨漏りの症状として現れます。
キューブ型の家など、勾配のない陸屋根などは、屋根と外壁の境目にパラペットと呼ばれる上部に笠木を取り付けています。このパラペット笠木も同様に下の階に被害が出る可能性があります。
建物を支える構造部分の劣化
笠木からの雨漏りはベランダだけではありません。雨水が伝わる部分があれば、柱や梁などにも浸入してきます。木造住宅であれば、木材が腐食し、シロアリ被害も招きます。
シロアリは湿った木材を好物とするため、建物の強度を著しく低下させてしまう恐れがあるのです。被害は木造住宅だけでなく、鉄筋コンクリート造の建物にも影響があります。鉄筋の場合はサビが発生します。
コンクリート内部の鉄筋がサビてしまうと、内部で膨張し、コンクリートを破壊するのです。コンクリートのひび割れやはがれにつながり、建物の耐久性の低下につながります。
笠木のメンテナンス・修理方法
ここでは、雨漏りを防ぐための笠木のメンテナンスや修理方法について解説します。
定期的な点検
定期的な点検は雨漏りを防ぐ重要なメンテナンスのひとつです。点検を怠ると、大規模な修理につながることもあるため、屋根や外壁、ベランダだけでなく、笠木も一緒に点検するようにしましょう。
塗装
塗装をすることで防水性を高めるには有効なメンテナンスです。塗装は見た目の印象を変えるだけでなく、美観の維持にも有効です。
ただし、状態が悪い笠木に塗装は有効なメンテナンスではありません。交換が必要となります。雨漏りを修理する目的で塗装はできませんので注意してください。
シーリング補修
シーリングは笠木のつなぎ目部分に雨水が入らないようにするために充てんします。笠木の下地材にそれほど劣化が見られないようであれば、シーリングでの補修は可能です。
シーリングは3〜7年程度で劣化してきます。環境によっても異なりますので、シーリングにひび割れや隙間ができていないかをチェックするとよいでしょう。
板金の交換
笠木の裏地にはそれほど劣化がなく、表面のカバー部分のみ劣化が見られるようであれば、板金部分を取り替えることができます。
ただし、笠木の下地などにも雨水が浸入しているようであれば、笠木自体の交換となります。
笠木の交換
笠木が破損している、めくれている、サビが発生し穴があいているなど、笠木自体の劣化がひどい場合は交換となります。雨漏りしている場合も同様です。
雨漏りしている場合は、下地材や下の壁なども被害を受けている可能性もあるため、外壁材も含めて状態を確認するようにしましょう。
笠木は早めの点検が重要
笠木は雨漏りにつながる可能性のある重要な建材です。雨漏りを最小限にするためにも、早め早めの点検が重要となります。
多少の傷みであれば大丈夫と自己判断してしまうと、ベランダ自体の交換など大規模な改修工事になってしまう可能性もあるので、早めに雨漏り専門の修理業者へ依頼することが重要です。
まとめ:笠木のメンテナンスはR-primeへ!
今回は、笠木の役割や雨漏りにつながる原因について解説しました。雨漏りにつながる原因としては主に以下の6つがあります。
- ・上部のクギの隙間から
- ・笠木のシーリングの劣化
- ・笠木のズレや浮いた部分から
- ・笠木のサビによる穴から
- ・結露
- ・施工不良
笠木部分から雨漏りすることで、ベランダ裏の軒天の腐食や、ベランダ下の部屋の雨漏りにつながるだけでなく、建物の耐久性低下を招き、柱や梁の構造部分の劣化を引き起こします。
笠木の劣化がみられるようであれば、早めの点検が大切です。少しでも気になる部分があれば、雨漏り修理専門業者へ依頼してください。
R-primeは、屋根修理・雨漏り修理専門業者です。現地調査やご相談、修理見積もりは無料で承ります。笠木の劣化が気になる方は、ぜひご相談ください。
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