屋根の「貫板」とは?役割を解説
屋根の構造には多くの部材が使われており、中でも「貫板」は、建物の耐久性や美観を保つために重要な役割を果たしている部材の一つです。
この記事では、貫板の種類や役割、メンテナンス方法について解説します。貫板が劣化する原因やメンテナンスの必要性についてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
屋根の「貫板」とは?
貫板は、屋根の頂点部分に設置される板状の部材で、スレート屋根の棟板金という金属板を固定するための下地材です。
貫板は鋼板金の中に入っており、釘やビスで固定した上から鋼板金を被せていきます。
スレート屋根は、日本の多くの戸建て住宅で使われており、鋼板金はスレート屋根が交差する部分に用いられています。
貫板の役割
貫板には以下の2つの役割があります。
【鋼板金の固定】
屋根の面はそれぞれ異なる方向に傾斜していることが多いため、頂上部や屋根面同士の合わせ目にすき間が生じることがあります。
棟板金はこのようなすき間をカバーする役割があり、棟板金を固定するために貫板は欠かせない部材です。
【屋根の頂上部を覆い、雨水の侵入を防ぐ】
屋根の頂上部に貫板を用いて鋼板金をしっかり固定することで、屋根の頂上部をしっかりと覆うことができ、建物内部への雨水の侵入を防ぐことができます。
貫板の種類
貫板には以下の3つの種類があります。
・木製
・樹脂製
・ガルバリウム鋼板
それぞれの特徴について、見ていきましょう。
木製
木製の貫板は、昔から使われてきた種類です。
日本では、杉を使った貫板が広く使われており、軽くて加工しやすいといったメリットがあります。
一方で、木は水分を吸収する性質があるため、雨が降ると貫板に水が浸透してしまい、月日の経過とともに腐食するというデメリットもあります。
貫板が腐食することで、棟板金を固定している釘の固定力も低下し、強風や台風などによって棟板金が飛散するリスクが高まります。
樹脂製
近年では、木製のデメリットを克服するために樹脂製の貫板が広く使われるようになってきました。
樹脂製の貫板は水分を吸収しないため、雨水による腐食のリスクが低減されます。
さらに、貫板を固定する際には錆びやすい鉄の釘ではなく、錆びに強いステンレス製のビスを使うことで、固定力の低下を防ぐことができます。
また、捻じるタイプのビスを使うため、ビスが浮きにくく耐久性も高いです。
しかし、樹脂製の貫板は割れやすいというデメリットがあり、施工時にビスの位置がずれてしまうと固定がうまくいかないといったトラブルが発生することがあります。
そのため、樹脂製の貫板の扱いに慣れた専門業者に依頼することが重要です。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は樹脂製同様、貫板の耐久性が高いのが特徴です。
ガルバリウム鋼板もビスでしっかりと固定されるため、鉄の釘特有のトラブルを避けることができます。
ただし、ガルバリウム鋼板は月日の経過と共に徐々にビスを固定している穴が広がっていくといったデメリットがあります。そのため、点検の際にはビスの固定力などを慎重に確認してもらう必要があるでしょう。
貫板が劣化する原因
貫板が劣化する主な原因は雨水による腐食です。
経年劣化により棟板金を固定している釘が錆びてしまったり、抜けてしまうことで雨水が侵入しやすくなります。
雨水が侵入することで、貫板も劣化しやすくなります。
前章の「貫板の種類」でご紹介しましたように、近年では樹脂製やガルバリウム鋼板といった雨水による腐食を防ぐことができる貫板もありますので、貫板のメンテナンスの際には、樹脂製やガルバリウム鋼板の使用も検討されると良いでしょう。
貫板のメンテナンス方法
代表的な貫板のメンテナンス方法として、以下の3つが挙げられます。
・貫板の交換
・屋根のカバー工法
・屋根の葺き替え
それぞれの方法について、ご紹介していきます。
参考)
貫板の交換
貫板の腐食が進んでいる場合は、貫板を新しいものと交換する必要があります。
貫板交換の流れは以下の通りです。
既存の棟板金と貫板を撤去する
新しい貫板を設置する
棟板金を設置する
貫板を新しくすることで、貫板の劣化によって起こる雨漏りのリスクを低減することができます。
また、この方法は比較的施工期間が短く、費用負担も他の方法と比べると少ないのが特徴です。
ただし、貫板だけを交換するため、屋根全体のメンテナンスは別途必要になります。
屋根のカバー工法
屋根のカバー工法は、既存の屋根材の上から新しい屋根材を被せる方法です。
一般的に、屋根のカバー工法では、既存の屋根材の上から新しい屋根材が被せられるため、貫板の交換は必要ありません。
また、屋根の葺き替えと比べると費用も安価で施工期間が短いのも特徴です。
ただし、カバー工法は屋根の重量が増加するため、建物への負担は大きくなります。また、既存の屋根材の上から新しい屋根材を被せるため、施工後は貫板の劣化状況を確認できないといったデメリットもあります。
さらに、構造計算の結果によっては施工できないケースもありますので、他の方法を検討する必要がある可能性もあります。
屋根の葺き替え
屋根の葺き替えは、その名の通り貫板だけでなく既存の屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材に葺き替える方法です。
この場合、屋根の葺き替えと同時に貫板も交換されます。
屋根の葺き替えは、貫板だけでなく屋根材そのものを交換するため、根本的な解決策となり、屋根の劣化による雨漏りのリスクを大幅に低減することができます。
また、屋根材そのものを交換するため、屋根のデザインを変更することも可能です。
しかし、他の方法と比べると費用の負担が大きく、施工期間も長くなります。
メンテナンス周期を延ばしたい場合や、近い将来、屋根の葺き替えの必要がある場合には、貫板の劣化のタイミングで屋根の葺き替えを行うことを検討すると良いでしょう。
貫板の劣化は放置すると危険
雨水などの影響で劣化しやすい貫板ですが、劣化した状態で放置するのは危険です。
貫板の劣化を放置した場合に起こりやすいトラブルを2つご紹介します。
雨漏りの発生
貫板の劣化を放置したことで起こりやすいトラブルの代表的な例として、雨漏りが挙げられます。
貫板が劣化すると屋根にすき間ができてしまいます。屋根にすき間ができると、そこから建物内に雨水が侵入してしまうのです。
貫板の劣化によって雨水が侵入し始めても、初期段階では発見が難しく気づいた時には被害が大きくなっているといったケースも少なくありません。
棟板金が吹き飛ぶ
貫板は棟板金を固定するための部材です。
貫板が劣化していると、棟板金がしっかり固定されてない状態になります。そのため、台風や強風などの自然災害が起こった際に、屋根材が吹き飛んでしまうリスクが高まります。
棟板金が吹き飛んでしまうことで、屋根の修理が必要になるだけでなく、吹き飛んだ棟板金が原因で隣人や通行人に怪我を負わせてしまったり、近隣の家屋を破壊してしまうなど、大きな被害が発生する可能性もありとても危険です。
貫板が劣化しているサイン
貫板は、環境などの影響により経年劣化していきます。
しかし、貫板は棟板金の下に隠れているため、その状態を確認することは難しいでしょう。
貫板が劣化している可能性があるサインとして以下の2つが挙げられます。
・棟板金が浮いている
・棟板金を固定している釘やビスが抜けている
貫板が腐食すると、棟板金を固定する釘やビスが抜けてしまうことが多いため、棟板金が浮いてしまうことが多いです。
ただし、棟板金は屋根の頂上部にあるため、自分で屋根に上って確認するのは危険です。
一般的に、棟板金が浮いたり、釘やビスが抜けるといった不具合は築7~10年程で発生しやすいため、築年数などを考慮したうえで、専門業者に点検を依頼することをおすすめします。
まとめ
貫板は、屋根の頂上部にある棟板金を固定するために欠かせない部材です。
経年劣化により貫板ぬ不具合が起こると、雨漏りや棟板金が吹き飛ぶリスクがあるなどとても危険です。
「R-prime(アールプライム)」では、横浜市近郊の屋根修理・防水工事・雨漏り修理・外壁塗装など、幅広いサービスを提供しています。
長年住宅の工事に携わってきた、知識と技術のある職人が丁寧かつ迅速に対応しており、施工品質においても安心です。
棟板金の不具合が見られる場合や、屋根の点検を検討されている方は、ぜひ「R-prime(アールプライム)」に相談してみてください。
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